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それぞれ開示書類の山の上に置かれた4台の車と、その背後に伸びる棒グラフ

有価証券報告書でセクター比較:Claude と Kabuken MCP で日本の自動車メーカー4社

EDINETの有価証券報告書は、企業ごとに読めば十分わかりますが、横に並べて比べるのは手間がかかります。この記事では、Claude に Kabuken の MCP コネクタを追加して、日本の自動車メーカー4社(トヨタ自動車、本田技研工業、スズキ、SUBARU)の有価証券報告書を会話形式で並べて読む手順を紹介します。

この記事に出てくる数値には、すべて EDINET の書類管理番号(doc ID)が付いています。読者は番号から元の開示書類を開いて、数値を自分で確認できます。それがこの手順の一番の目的です。

4社とも 2026年3月期の有価証券報告書を IFRS で作成しているので、見出しの表は同じ基準で比べられます。金額は開示書類どおり百万円単位です。

Kabuken(kabuken.intellics.ai)は、EDINET の開示書類の XBRL データを読み取り、出典の書類を付けて AI アシスタントに渡すサービスです。株価の提供や投資助言は行いません。

準備:Claude にコネクタを追加する

Claude のウェブ版で「カスタマイズ」>「コネクタ」>「+ 追加」>「カスタムコネクタを追加」の順に進み、URL に https://kabuken.intellics.ai/mcp を入力します。開いた画面で Kabuken にサインインして「認証する」を選び、チャット入力欄の「+」>「コネクタ」で Kabuken をオンにします。Claude Code やデスクトップアプリの手順は Kabuken のドキュメントにあります:https://kabuken.intellics.ai/docs/ja/clients/claude-ai/

Claude はツールを呼び出す前に、使う Kabuken のツール名を示す許可の表示を出します。内容を確認して許可してください。

手順1:書類を特定する

トヨタ、ホンダ、スズキ、SUBARU の直近の有価証券報告書を、書類管理番号・対象期間・提出日とともに一覧してください。

このプロンプトは search_companies(4社まとめて1回)と、その後の企業ごとの list_documents に対応します。一覧には臨時報告書や自己株券買付状況報告書、大量保有報告書なども含まれるので、doc_type_code が 120 の行が有価証券報告書です。結果を要約すると次のとおりです。

企業 期 対象期間 提出日 書類管理番号
トヨタ自動車 第122期 2025-04-01〜2026-03-31 2026-06-10 S100Y8NY
本田技研工業 第102期 2025-04-01〜2026-03-31 2026-06-18 S100YDD9
スズキ 第160期 2025-04-01〜2026-03-31 2026-06-23 S100YFG2
SUBARU 第95期 2025-04-01〜2026-03-31 2026-06-22 S100YFKZ

この4つの番号が、以降のすべての数値の出典になります。なお、スズキは 2026年8月25日にこの報告書の訂正報告書(S100YYB1)を提出し、報告書のインラインXBRLを再添付していますが、この記事で使う主要な経営指標(売上収益、税引前利益、親会社の所有者に帰属する当期利益、親会社の所有者に帰属する持分、総資産)は両方の書類で同じ値であり、この記事は原本の S100YFG2 を出典とします。

手順2:見出しの表

トヨタ(E02144)、ホンダ(E02166)、スズキ(E02167)、SUBARU(E02152)の直近の有価証券報告書から、売上収益・営業利益・当期純利益・総資産・資本を比較してください。各社の書類管理番号と会計基準も示してください。

このプロンプトは compare_companies に対応します。応答の各指標には、読み取り元の XBRL 概念(concept_id)、期間、連結・個別の区分が付き、各社の会計基準(accounting_standards)も示されます。4社とも IFRS です。

2026年3月期、連結、IFRS、単位:百万円

トヨタ ホンダ スズキ SUBARU
書類管理番号 S100Y8NY S100YDD9 S100YFG2 S100YFKZ
売上収益 50,684,952 21,796,610 6,292,967 4,784,965
営業利益 3,766,216 △414,346 622,909 40,120
親会社の所有者に帰属する当期利益 3,848,098 △423,941 439,267 90,842
総資産 105,522,331 33,509,285 6,636,815 5,492,301
親会社の所有者に帰属する持分 39,918,854 11,817,512 3,382,083 2,780,407
営業利益率(筆者計算) 7.43% △1.90% 9.90% 0.84%
自己資本比率(筆者計算) 37.8% 35.3% 51.0% 50.6%

ここで、定義を3つ確認しておきます。いずれもツールの応答から読み取れます。

  • 「当期純利益」は、親会社の所有者に帰属する当期利益です(概念 ProfitLossAttributableToOwnersOfParentIFRSSummaryOfBusinessResults)。トヨタの場合は 3,848,098 で、非支配持分を含む当期利益 3,985,761 ではありません。
  • 「資本」は、親会社の所有者に帰属する持分です。
  • トヨタの売上の項目名は「営業収益」です(概念 TotalNetRevenuesIFRS、ラベルは「営業収益合計」)。内訳は、商品・製品売上収益 45,865,949 と、金融事業に係る金融収益 4,819,003 です。ホンダ、スズキ、SUBARU は RevenueIFRS(売上収益)です。compare ツールの表示ラベルは4社とも「売上高」ですが、概念 ID を見れば、どの項目を読んでいるかがわかります。

「筆者計算」の2行は開示書類の数値ではなく、この記事で計算したものです。営業利益率は営業利益÷売上収益、自己資本比率は親会社の所有者に帰属する持分÷総資産です。ツールの応答には、この計算のために operating_margin_denominator という項目が付いていて、出典表示にも「Figures are calculated by Kabuken from EDINET filings, not reported directly by EDINET.」という一文が入ります。

表を読むときの注意点として、トヨタとホンダは規模の大きい金融事業を連結しているため、貸借対照表に金融債権やリース債権が載ります。スズキや SUBARU より自己資本比率が低い理由の一つはこれです。金融事業の大きさは手順4で確認します。

手順3:3期分を、それぞれの年の書類から

4社それぞれについて、直近3期の売上収益と営業利益を、各年度の有価証券報告書から取得して示してください。年度ごとの会計基準も明記してください。

このプロンプトは get_company_financials(period_type: ANNUAL、periods: 3)に対応します。応答の各期にはその年の doc_id が付くので、表の数値は後の年度で修正再表示された値ではなく、その年に提出された値です。

単位:百万円

企業 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
トヨタ 売上収益(営業収益) 45,095,325(S100TR7I) 48,036,704(S100VWVY) 50,684,952(S100Y8NY)
トヨタ 営業利益 5,352,934 4,795,586 3,766,216
ホンダ 売上収益 20,428,802(S100TNE0) 21,688,767(S100VYOD) 21,796,610(S100YDD9)
ホンダ 営業利益 1,381,977 1,213,486 △414,346
スズキ 売上高/売上収益 5,374,255(S100TRQC、日本基準) 5,825,161(S100W4MT、IFRS) 6,292,967(S100YFG2、IFRS)
スズキ 営業利益 465,563(日本基準) 642,851(IFRS) 622,909(IFRS)
SUBARU 売上収益 4,702,947(S100TO9E) 4,685,763(S100W1AE) 4,784,965(S100YFKZ)
SUBARU 営業利益 468,198 405,308 40,120

トヨタ、ホンダ、SUBARU は3期とも IFRS です。スズキの2024年3月期は日本基準(概念 jppfs_cor:NetSales、jppfs_cor:OperatingIncome)で、2025年3月期以降が IFRS です。応答には期ごとの会計基準(accounting_standards)が入っているので、表の「日本基準」の表示はそこから取っています。日本基準の売上高と IFRS の売上収益は同じ量ではなく、営業利益の定義も異なるため、この境目をまたいだ増減率は計算しません。他の3社は、計算しなくても方向が読めます。トヨタとホンダの売上収益は3期を通じて増え、トヨタの営業利益は毎期減り、ホンダの営業利益は2026年3月期に赤字になりました。なお、SUBARU は2025年3月期の報告書の訂正報告書(S100YF9D、2026-06-22 提出)も出していますが、表の2025年3月期の数値は原本 S100W1AE のものです。

手順4:各社は何でできているか

4社の直近の有価証券報告書を事業セグメント別に分解してください。セグメントごとの外部顧客への売上収益と営業利益を、日本語と英語のセグメント名とともに示してください。

このプロンプトは、各 doc_id に対する get_segment_breakdown に対応します。応答は開示書類の XBRL のセグメント情報(軸 jpcrp_cor:OperatingSegmentsAxis)から取られます。下の表のセグメント名は、各社が開示書類で使っている名称そのものです。

セグメントの売上収益は外部顧客への売上収益(RevenueFromExternalCustomersIFRS、トヨタは OperatingRevenueFromExternalCustomersIFRS)、営業利益はセグメント別の OperatingProfitLossIFRS です。2026年3月期、単位:百万円。

トヨタ(S100Y8NY)

セグメント English 外部売上収益 構成比(筆者計算) 営業利益
自動車 Automotive 45,201,924 89.18% 2,777,049
金融 Financial Services 4,819,003 9.51% 851,722
その他 Other 664,026 1.31% 132,079
消去又は全社 Corporate expenses and elimination 5,366

トヨタの金融セグメントは、売上収益の 9.51%、営業利益の 22.61%(851,722÷3,766,216、筆者計算)を占めます。外部売上収益 4,819,003 は、手順2で見た損益計算書の「金融事業に係る金融収益」と同じ金額です。

ホンダ(S100YDD9)

セグメント English 外部売上収益 構成比(筆者計算) 営業利益
四輪事業 Automobile business 13,863,362 63.60% △1,411,140
二輪事業 Motorcycle business 4,018,837 18.44% 731,926
金融サービス事業 Financial services business 3,529,484 16.19% 275,532
パワープロダクツ事業及びその他の事業 Power product and other businesses 384,927 1.77% △10,664

ホンダの4セグメントの合計は、連結の売上収益 21,796,610 と営業利益 △414,346 にちょうど一致します。四輪事業は 1,411,140 の営業損失、二輪事業は 731,926、金融サービス事業は 275,532 の営業利益でした。同じセグメント注記には減損損失(ImpairmentLossesPLIFRS、セグメント合計 692,006、うち四輪事業 605,150)、資本的支出、減価償却費も入っているので、次のプロンプトで聞くことができます。

スズキ(S100YFG2)

セグメント English 外部売上収益 構成比(筆者計算) 営業利益
四輪事業 Automobile business 5,706,420 90.68% 547,632
二輪事業 Motorcycle business 454,488 7.22% 44,770
マリン事業 Marine business 119,456 1.90% 26,605
その他事業 Other business 12,601 0.20% 3,900

SUBARU(S100YFKZ)

セグメント English 外部売上収益 構成比(筆者計算) 営業利益
自動車 Automobiles 4,638,342 96.94% 32,086
航空宇宙 Aerospace 141,667 2.96% 3,500
その他 Other 4,956 0.10% 3,616
消去又は全社 Corporate expenses and elimination 918

セグメントの金額は開示書類で百万円単位に丸められているため、合計が連結の数値と数百万円ずれることがあります(トヨタの3セグメントの外部売上収益の合計は 50,684,953 で、連結の 50,684,952 と1百万円の差)。構成比は手順2の連結売上収益を分母にしています。

4つの表を横に見ると、「自動車セクター」が一様ではないことがわかります。売上収益の 9.51% と 16.19% を金融事業が占める2社、二輪事業が売上収益の2割近い1社、航空宇宙セグメントを持つ1社、売上収益の9割以上が四輪の2社。見出しの表だけでは見えない構造です。

手順5(任意):大量保有報告書を出しているのは誰か

SUBARU の大株主を大量保有報告書から、各保有者の保有割合・報告日・書類管理番号とともに示してください。

このプロンプトは get_major_shareholders に対応します(「最近提出された報告書を教えて」のような聞き方だと、手順1の書類一覧だけで答えが返り、このツールが呼ばれないことがあります。保有割合まで求めてください)。結果の各行は、保有者が5%の基準を超えたときや保有状況が変わったときに提出する大量保有報告書・変更報告書で、有価証券報告書に載る株主名簿上の大株主一覧ではありません。1行が1件の報告書で、提出日が付きます。

提出者 保有割合 報告日 区分 書類管理番号
野村アセットマネジメント株式会社 5.31% 2026-07-07 新規 S100YPB1
ノルウェー銀行(Norges Bank) 4.33% 2026-02-18 変更 S100XM2E
ノルウェー銀行(Norges Bank) 5.04% 2025-12-18 新規 S100XAW3

各行の purpose には、報告書に記載された保有目的がそのまま入ります(ノルウェー銀行は「純投資」)。

この記事がしないこと

  • 株価、バリュエーション指標、市場データは扱いません。EDINET の開示書類に含まれず、Kabuken も付け加えません。
  • 将来の予測、どの企業が「良い」かの判断、売買に関する表現はありません。表は開示された内容を記述しています。
  • 会計基準をまたいだ調整はしません。スズキの日本基準の年度は、表示を付けてそのまま置いています。
  • セグメント名は各社の報告セグメントそのままです。ホンダの「四輪事業」とトヨタの「自動車」は同じ定義ではありません。
  • 数値のまわりの文章は Claude が書きます。アナリストのレポートと同じように、ツールの出力と元の書類に照らして確認してください。

持ち帰ってほしいこと

上の数値にはすべて書類管理番号が付いています。S100Y8NY はトヨタ自動車の第122期有価証券報告書(2026年6月10日提出)で、EDINET で開けば、財務諸表の本表とセグメント注記に同じ数値があります。会話で比較できることよりも、どの数値も開示書類まで辿れることが、自分のレポートに使えるかどうかを決めます。

出典表示と利用条件

出典:EDINET(金融庁)、公共データ利用規約(第1.0版)。データはKabukenが加工しています。本記事の数値は EDINET の開示書類にもとづき、Kabuken が編集・加工したものであり、政府の未加工データとして提示されるものではありません。「筆者計算」と記した比率は、同じ表に示した開示数値から筆者が計算したものです。セグメントの軸・項目名には EDINET タクソノミの内容を含みます。EDINET タクソノミは公共データ利用規約の対象外で、別途の利用条件(https://www.fsa.go.jp/search/EDINET_Taxonomy_Legal_Statement.html )に従います。© Copyright 2014 Financial Services Agency, The Japanese Government.